問題は「子を産む価値」

政府は12日、少子化対策の一環として、入院を含めた出産費用全額を国が負担する「出産無料化」制度導入の検討に着手した。
 若年夫婦などの経済負担を軽減することで、少子化に歯止めをかけるのが狙いだ。6月に閣議決定する「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(骨太の方針)に盛り込むことを目指す。
 政府の少子化対策は、〈1〉働く女性が出産後も社会復帰しやすい環境作り〈2〉出産や育児などの経済的負担の軽減――の2点が大きな柱となっている。出産無料化は、経済的負担軽減の目玉というべきもので、若年夫婦などが出産しやすい環境を整えるのが目的だ。

「経済的負担」が重くのしかかってくるのは、子供を産んだあとだ。育児費用(特に教育費用)は、出産時にかかる費用の比ではない。


大体、こんなに物騒で、学校の教育の質も低下しているご時世だというのに、出産費用が無料になった程度で、これから子供を産もうとする若い世代の不安が払拭されるとでも?
さらに、人のことよりまず自分という個人主義が横行している中で、「子供産むならタダよ」と言ったところで、振り向かせることすらできない。振り向いたとしても、興味を示すのは出産ではなくて「タダ」という部分のみである。わざわざ大変な思いをして子供を産み育てるより、自分にお金をかけたほうがずっと楽だし楽しいのである。晩婚化、DINKS、結婚しない人が増えているというのはその最たる例ではないのか。


余談だが、どこぞの町の子育ての現状について。
田舎の町なので仕事が少なく、一人の収入も少ない上、核家族化が進んでいるため、
若い夫婦は共働きである場合が多い。(田舎は大家族が多いというのは幻想)
だから、昼間は保育園や幼稚園に預けて仕事に行く。
すべての仕事が定時(17〜18時)であがれるわけではないわけで、もちろん残業もある。
しかし保育園や幼稚園は18時までである。それまでに迎えにいかなくてはならない。
仕事を切り上げて迎えに行けるのなら問題はないが、そうとは限らないのである。
そんな中で「延長保育をしてほしい」と保護者から要望が上がるのは必然的である。
そして保護者が教育長にお願いにいったのである。
返事はこうだった。
子育ては親の責任であるから、延長保育は必要ない。」


また、子育て支援の会合では、子育てを終えた世代が上記のようなことを言い出し、子育て中の若い女性が泣き出してしまった、という話もある。「子育てを終えた世代と子育て中の世代にはジェネレーションギャップがある」というが、それを忠実に表している。